Lesson2-2 特別栽培、無農薬栽培、自然栽培との違い

特別栽培・無農薬栽培・自然栽培との違い

これまで有機農業について触れてきましたが、生態系の維持や持続可能性、無農薬・無化学肥料など、地球にも体にも優しいという特徴がありました。しかし他にも、ナチュラルで自然に優しい栽培法として特別栽培、無農薬栽培、自然栽培などの言葉を聞いた事がある方もいるのではないでしょうか。

でも実際には、なにが違うのかが分かりづらく、よくわからない方も多いと思います。
ここではその違いをしっかり押さえていきます。

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①特別栽培

原則として、各地域の慣行農業に比べて節減対象農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下で栽培される栽培法のことです。

節減対象農薬とは、有機農業で認められている農薬以外の農薬のことを差します。その節減対象農薬と化学肥料の両方が50%以上削減されていれば「特別栽培農産物」と表示ができますが、現在では無農薬や減農薬で栽培していても、「無農薬栽培」「減農薬栽培」などと表示する事は禁止されています。

特別栽培農産物には、有機JASのような認証システムはありません。また、法律で定められている有機農産物とは違い、ガイドラインで定められているのみで、法的な拘束力はありません。

 ②無農薬栽培

その名の通り、生産期間中”に農薬を使用しない栽培法のことです。ですが、前年の残留農薬や他の畑からの飛散農薬などにはさらされている可能性はあり、作物に農薬が一切含まれないことを示す厳格な基準や認定機関がないため、現在では「無農薬」という表示は禁止されています。

現在では、上記のような農薬の使用を控えた作物を①と同様の「特別栽培農産物」と表記するように農林水産省のガイドラインで定められています。

③自然栽培

自然栽培では、化学的か有機的かを問わず、農薬や肥料を一切使いません。無農薬、無肥料農法と言い換えることができるでしょう。自然から学び、自然を尊び、大自然の法則を応用する農法です。また、多くの自然栽培農家は自家採種を行っています。

人間の関わりをできるだけ排除し、土壌も耕さず自然のまま放任する農法もありますが、肥料や農薬で汚されている土壌では、自然農法に切り替えてもすぐには理想的な作物は出来ないのが現実です。ですので、自然栽培を開始するためには、まず自然バランスを崩した土から農薬や肥料を取り除き、浄化する作業を行うことが重要なのです。

大自然の力を最大限に取り込む自然栽培は環境のことを考えると一番理想的な農法と言えますが、一方で汚染された土が浄化されるまでは何年もかかることもあり、汚された自然を元に戻すのはそう簡単なことではありません。強い信念の元、経営難を乗り越え、長期的に土づくり計画に取り組まれる農家の努力は涙ぐましいものがあるのです。

 

いかがでしたか。それぞれオーガニック・有機農業とは少しずつ違いがあるのです。

これらの違いを混同してしまっている人も多く存在しますので、オーガニックコンサルタントとしてしっかりと違いを理解しておくことが大切です。