Lesson3-5 オーガニック食品の選び方・調味料①

スーパーやコンビニなど、一般の小売店で購入する食べものが、農薬や添加物に侵されている危険性があるという警告を至る所で耳にするようになりました。このような危険性は商品価格との関係が深く、添加物を用いることで保存性を高めたり、原材料を安く仕入れ低価格で販売されたりする食品には常につきまといます。

数は少ないですが、オーガニックで体にやさしい自然食材を扱うお店もあります。しかし、生産者が自然の摂理に沿い丁寧に作った商品を購入したくても、近所のスーパーで見つけることが難しいのが現実です。

生産者の努力によって作られた安全な商品は、インターネットで購入する事こともできます。この章では、毎日の料理に利用できる調味料と飲み物をご紹介します。日本人の食生活に欠かせない調味料はオーガニックに初めて挑戦する人も無理なく取り入れられるでしょう。

 

①醤油

井上醤油店 生じょうゆ 200ml 450円

島根県の出雲地方で、契約栽培された自然農法の大豆と小麦、自然界塩、地下水、麹菌を原料とし、添加物を一切使用しないで作られた醤油です。

製法

蒸された大豆と割砕された小麦を混ぜて麹菌をつけます。25度~30度に温度を保ち、3日間適度な湿気を与えることで、醤油麹が出来ます。その麹に自然海塩を地下水で約20%に薄めた食塩水を加えます。発酵を活発にする為に週1回、夏場は3日おきによくかき混ぜ、樽の底まで空気を入れます。

これを2年もの間続け、ようやく出荷できる醤油になります。生きた酵素や乳酸菌、酵母が2年間かけて旨味や香り、色を引き出します。

食塩水が発酵を促進させ、腐敗しないよう乳酸菌を助ける役割をします。布でもろみを包み、無理な圧力を加えず絞ります。そして菌が生きている醤油を非加熱でビン詰めします。

2年じっくりと熟成して出来た醤油です。

市販の醤油との比較

原料の違い

市販の醤油との違いは、ラベル表示を見ると分かります。最も分かりやすいのは原料の違いでしょう。

通常の醤油の原材料名には「脱脂加工大豆」「大豆」「小麦」「酒精(アルコール)」と表記されています。脱脂加工大豆とは、大豆から油を絞った後の大豆カスのことです。その大豆のほとんどは輸入大豆で、化学肥料、農薬、除草剤が使われている可能性が高いと考えられるものです。また、輸入大豆は害虫駆除の為に消毒されています。その大豆を薬剤で溶剤抽出して大豆油を絞り出し、残りが大豆カスとなります。その名前の通り、残り物の「カス」なのです。

小麦も大豆と同様、ほとんどが輸入され、化学肥料、農薬、除草剤、そして消毒がされている可能性があります。
食塩は、塩化ナトリウムという化学物質に近い精製された加工塩が使われます。
酒精は防腐剤として使用されるアルコールのことで、穀物の澱粉などを原料にして蒸留されたエチルアルコールというものです。

製造期間の違い

市販の醤油の製造工程は井上醤油店と基本的に変わりませんが、製造期間に大きな違いがあります。市販の醤油は温醸という仕込み庫を使い、温度を一定に保ち発酵を早め、3~6か月で製品にしてしまいます。

不自然に早く作る為菌が十分に働けず、味も風味も落ちます。アミノ酸などの化学調味料で味をつけている物もあり、もはや菌によるうま味を活かす発酵食品とは言えない商品が多い現実があります。

 

同じ「醤油」という製品であっても、これだけ大きな違いがあります。近年調味料は安価な物が手に入りやすいですが、それは上記のような原料からこのよううな工程で作られているのです。

製法や手間の掛け方の違いを知れば、その味の違いも想像に固くないでしょう。和食の味を大きく左右する醤油、ご紹介しているもの以外でも、製法や原料の違いを見極め、本物を選んでみてください。

有限会社 井上醤油店
島根県仁多群出雲町下阿井1430番地の2
電話0854-56-0390 FAX 0854-56-0342

 

②さとう

★ぐりむ食品研究社 オーガニックシュガー 

黒砂糖や洗双糖は自然食品を扱うお店でよく見かけますが、無農薬で栽培されたサトウキビの砂糖には殆どお目にかかれません。このオーガニックシュガーの原料であるサトウキビは、パラグアイで無農薬栽培されたものを100%使用した粗製糖で、OTCAのオーガニック認定を受けています。植物でアクをたくさん取り、さらりとクセの無い味が特徴です。

身体に悪いと、砂糖を避ける人がいますが間違いです。薬品で精製し過ぎた白砂糖は、ショ糖や果糖などの純度の高いものですが、原料が無農薬で薬品を使用せず粗製された砂糖は、摂りすぎに注意すれば体に悪影響はありません。

株式会社ぐりむ食品研究社
電話03-5472-6089 FAX03-5472-6232

 

人と水と土と 叶辰郎さんの自然栽培黒砂糖 300g(固形/粉)

 

鹿児島県奄美大島の叶さんが無農薬無肥料で育てた自然栽培のサトウキビから作った黒砂糖です。叶さんは、自然栽培するのが大変困難だと言われているサトウキビ栽培に6年前から挑戦されています。

加工方法は、サトウキビの搾り汁をそのまま煮詰めて固めるだけ。鍋に焦げつかない様じっくり混ぜ、丁寧に手作業で作られます。原料の生産から加工まで、余計なものを一切使わずに作られたこの黒砂糖は大変希少なものです。

大量生産が出来ず、一般には出回っていません。現在は自然栽培の個人宅配「ハーモニックトラスト」の会員向けに販売されています。