Lesson5-1 化学物質による病

頭痛、微熱、体のだるさなどを感じて病院へ行ったけれど、悪いところが分からない。自律神経失調症、うつ病と診断されて治療を受けたけれども症状が改善されない、という経験はありませんか?

そんな症状は、化学物質が原因であることあるのです。ごく微量の化学物質に体が反応してしまう人がいます。その様な状態を化学物質過敏症と呼びますが、神経質だから化学物質に過敏に反応してしまう訳ではないのです。

花粉症の原因は化学物質

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スギ花粉は昔から存在していたにも関わらず、近年花粉症が増加しています。花粉症の原因は花粉だけではありません。アレルギー反応を促進する化学物質があることが実証されています。

栃木県日光市は杉並木で有名な地です。日光市の花粉症患者の数は、スギ花粉が少なくても交通量の多い地区に多かったという調査結果があります。スギ花粉の量よりも、排気ガスの量が花粉症発症に大きな影響を持っているということです。

大気汚染や生活環境に増えている薬剤がアレルギーの原因物質であり、花粉やダニなどは誘因物質だと考えられます。排気ガス、農薬、食品添加物などの化学物質が加わることでアレルギーが発生しているのです。

抗菌社会が病気をつくる

また、昨今では殺虫剤、防腐剤、消毒剤、防ダニ剤などの抗菌グッズが生活環境内に氾濫しています。小さなお子様のいる家庭では携帯用の消毒剤や消毒効果のあるウェットティッシュを常に持ち歩いていることでしょう。それらは悪い菌をやっつけてくれ、清潔に住空間を保ってくれて手放せないものと思っている方が多いのではないでしょうか。
実はそのような過剰な抗菌社会がアレルギーを作っているという事実があります。その真実を知らなければなりません。

アトピーやアレルギー

アトピーやアレルギーを持つ子供が増えていると言われています。昔から存在する花粉やダニや食べ物が主な原因だと言われますが、なぜ今、アレルギーに悩む人が増えているのでしょうか。

先ほどお話しした化学物質過敏症も1つの理由ですが、免疫力の低下も大きな理由だと考えられています。体を守るリンパ球の中には、抵抗力派とアレルギー派の2つの派閥があります。体の中に細菌やウイルスが侵入すると、抵抗力派が戦い身を守ります。ダニや食べ物や花粉が体内に入った時は、アレルギー派がアレルギー抗体をたくさん作り対応しようとし、その排出作業としてくしゃみなどの症状がでたり、また過剰な反応となるとつらい花粉症やアトピー性皮膚炎などの症状を起こします。

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昔の子供は外でよく遊び、常に細菌やウイルスが身体の中に入ってきていました。そのため抵抗力派は常に忙しく働き、ある程度の細菌やウイルスには抵抗力を持っていたのです。しかし最近では抗菌グッズが多用されているために抵抗力派は仕事が無くなってしまい、抵抗力派はゆっくり休んでいる状態です。アレルギー派はそんな状況を見て、病原菌が体内に入って来た時に抵抗力派が戦ってくれないのではないかと心配します。アレルギー派はたるみ切った抵抗力派を鍛えなおす為、花粉症やアトピー性皮膚炎を起こして病原菌を体内に招き入れるのです。

また、近年の化学物質や添加物過多の状況において、アレルギー派は常に抗体をつくり備えている装備過剰の状態になっている人が多く見受けられます。通常なら化学物質や花粉などが入ってきても少しのくしゃみや鼻水で対応してきたものが、抗体が多くなりすぎているために少量の物質にも総攻撃をかけることで、症状が大変重くなったり、アトピーやアレルギーなどとして過剰反応となってしまうのです。

薬剤に頼る行き過ぎた清潔志向で細菌やウイルスを排除しすぎて抵抗力派が弱くなり、アレルギー派優位の状態になっています。昔では反応しづらかったダニや花粉、食べ物などに過敏に反応する人が増えています。

化学物質が多い薬剤に頼らずとも、まめに掃除することで十分清潔な空間は作ることが出来ます。

アトピー性皮膚炎の人の肌がジュクジュク荒れていたり、花粉症の人がくしゃみや鼻水を出したりするのは、アレルギー派が細菌感染やウイルス感染を起こし抵抗力を強くしようとしているのが理由です。

これは自然治癒力で病気を自力で治そうとしている現れですので、ステロイドや薬などを使ってアレルギー派の力を弱めてしまったり、抗生物質などで細菌やウイルスを殺し、抵抗力派の力を弱めてしまうのは良くないことだとも言われています。一時的に症状は治まりますが、根本的な治癒にはなりません。総合的な免疫力の低下も招き、ガンなどの大きな病気にもかかりやすくなることがあります。

溢れる抗菌グッズの実態

「防虫」「抗菌」という言葉で安心感をアピールする多くの商品に、農薬と同じ成分の薬剤が使われていることはあまり知られていません。

台所用品ではスポンジ、ふきん、まな板や冷蔵庫内の野菜ケースに滅菌剤が使われていることがあります。衣類も薬剤加工されているものが多く、汗で薬剤が溶け出す可能性があります。ふとんや毛布、マットレスなどの寝具も抗菌されているものが多くあります。洗濯機や加湿器、畳、エアコンのフィルターなども抗菌加工されている可能性があります。

抗菌に使用される薬剤に防カビ剤のチアベンダゾールがありますが、催奇形性、変異原性がある薬剤です。殺菌剤に使われる銅は、嘔吐、下痢、黄疸などの症状を誘発することがあります。殺菌剤のグルコン酸クロルヘキジンは、発疹やめまいを引き起こすことがあります。

掃除機のゴミパックは農薬と同じ成分で防虫・防菌加工されています。子供が軽度の気管支ぜんそくを患うことで、まめに掃除機を使用した結果、重度の喘息に悪化する事例があります。もし使用するなら、防虫抗菌加工されていないゴミパックを使いましょう。掃除機のフィルターも防虫抗菌加工がされていますので、よく洗い天日干しして使用するのがおすすめです。

 

アレルギーやアトピーにみられるように、近年では化学物質の身体への影響が如実に現れてきているように見えます。生活を良くするための抗菌剤や防虫剤、製品のコーティングや香料など、非自然なものに常に触れている私たちは、アレルギー反応から見える通り、より自然なものを身体が求め始めているといえるでしょう。オーガニックコンサルタントとしても、より自然な生活が、身体の健康維持につながることを念頭に置き、活動していかなくてはなりません。