Lesson1-5 オーガニックの認定

オーガニックの認定機関とは

オーガニックの認定機関では、野菜や畜産物、食品加工品が、化学肥料や農薬、遺伝子組換え技術などを用いないで作られたものなのかを、検査・証明します。

オーガニックの認定を得たい農場などから申請があると、オーガニック検査員がその基準を満たしているか審査し、認定を行います。そこで認定されたものだけが「オーガニック(有機)」として、表示許可されるのです。

それでは、海外・日本における認定機関を見ていきましょう。

海外における認定機関

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欧米の様々な認定機関

欧米では、そのオーガニックの認定に関しては、日本よりも早く法律により規定がされていました。認定機関は各国に様々あり、オーガニックの定義や認定基準も各々の機関により異なります。

その中でも特に大きな認定団体としては、欧州のIFOAM(オーガニック農業運動国際連盟)で、1972年に国際的なオーガニック認定機関としてパリで生まれた国際NGO団体です。現在、IFOAMには、111か国以上、700もの団体が加盟しています。

アメリカでもオーガニック需要の高まりに伴い、約40以上のオーガニック認定機関が設立されています。州政府のような公共機関、消費者・生産者からなる民間団体まで、その形態は様々です。

統一ガイドラインの策定

上述のように、オーガニック需要の高まりに応じて、各地域でオーガニックの定義づけ・認証が行われました。環境や消費者保護の動きがみられる一方で、認定機関の乱立により、オーガニックの定義が定まらない状態が続いていました。

そこで1999年に、FAO(国際連合食料農業機関)WHO(世界保健機関)が合同設立した政府間機関「コーデックス委員会」にて、オーガニックに対するガイドラインが策定されました。コーデックス委員会では、「消費者の健康保護」「食品の公正取引」を目的に、国際食品規格(コーデックス規格)の策定を行っていますが、このガイドラインを準拠することにより、世界基準での同等性を主張できることとなりました。

日本における認定機関

有機JAS規格

日本には、農林水産省が制定した有機農業の推進に関する基本的な方針として「有機JAS規格」があります。1999年に、これまでのJAS法が改正され、有機食品などについての不適切な表示や生産基準の不統一を是正する必要性などが盛り込まれました。その中では、第三者の認定機関により認定を受けたものだけが「有機」として表示することができると定められており、ここから日本でのオーガニック認定が始まりました。

この規格に基づき、化学肥料や化学合成農薬を使わずに作られた野菜が有機農産物として認定され、「有機」としてスーパーで売ることが出来ます。有機JASマークが付いている商品は登録認定機関による検査をパスしたものですから、安全性が高いと言えるのです。

より良い有機商品を選ぶために

有機加工食品に有機JASマークをつけて販売するには、有機原料を使用するだけでなく、製造に関わる工場全てが有機JAS認証を取っている必要があり、それにはコストや手間がかかります。小さな加工業者が認証を取るのは難しく、高品質なオーガニック商品を製造していても、その商品に有機JASマークを付けることができない農家もあるようです。有機JASマークがついていると解かりやすい目印にはなりますが、一概にそれだけが信頼できる有機商品とは限らないでしょう。

また、オーガニック農家は栽培期間中、化学合成農薬・化学合成肥料を一切使用してはならないと規制されていますが、それ以外の農薬や肥料の使用は規制されていません。つまり、有機JASマークが設定されていたとしても、生産者によって、農薬や肥料へのこだわりは千差万別で、生産方法によって品質の違いが出てきます。

数種類の有機材料を与えて育てる農家、熱心に土を研究し、何10種類もの有機材料を混ぜた土壌で育てる農家、どちらが作る農産物も同じ有機農産物として一括りにされてしまいます。認証マークからは読み取れない生産方法や農家の理念を調べることが、より品質の高い有機農産物を手にするためには必要であると言えます。

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そんな有機・オーガニックですが、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
次のセクションで、より実践的に解説していきましょう。