Lesson2-4 有機JAS認定

有機JAS規定制定に伴う農家の苦悩

2000年4月から、JAS法が改訂され、有機JAS規定の項目が追加となりました。それに伴い、法律で「有機」の定義づけを行い、それに則る農家・作物のみが認証を受け、「有機」という表現をするようになりました。

この有機JAS規定の制定には、消費者保護と環境保護の2つの側面がありますが、この認証を受けるためには、農家は多大なる経費と事務手続きの時間を費やすことになるのも事実です。

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ここでは、その農家が認証を受けるまでの手順を説明していきます。

7つの認証手順

有機JASの認証・登録は、国から認可を受けた機関・団体が実施することになります。その認定機関が農家を書類審査・実地審査し、判定・認証取得をするという流れです。

①組織作り

まずは、有機農業の内容の記録付けを中心として管理していく「生産管理担当者」の設置をします。また、収穫した作物を「有機」表記をして販売してもよいか判断し、JASマークの貼り付けを管理する「格付担当者」も設置しないといけません。

次に、「規定」の作成です。管理方針の作成や年間生産計画の作成などを内容とした規定を作成しなくてはなりません。

②栽培指針作り

次に栽培指針を作成します。「日本農林規格(JAS規格)」に則り、栽培ルールを書面化します。指針の内容としては、基準を満たした圃場で栽培されなければならず、肥培管理や病害虫・防除草に使用する物質の管理、収穫から出荷工程で非有機作物との混合や農薬にさらされる可能性がないか、など細かに管理しなければなりません。

③図面づくり

次に圃場の地図や使用施設の図面の作成です。圃場周辺地図、認定対象圃場図、水系図、などを明示する必要があります。

④格付記録作り

農作物の格付日、格付量、格付責任者名などの格付記録を残す必要があります。また、認定後毎年6月末までに、格付実績を集計し、登録認定機関に報告しなければなりません。

 ⑤認定の申請

申請する認定機関を選定し、そこに対して、①~③で作成した農業概要を提出します。申請書を提出した後は、1次審査(書類審査)が行われ、認定基準を満たしていれば、⑥実地検査へと進むことができます。

⑥実地検査と判定

実地検査では、聞き取り審査や現場確認、書類監査(記録簿)などにより、申請内容に虚偽がないのか検査されます。検査結果は検査員に持ち帰られ、認定機関内の判定担当者へ報告、認定の合否判定が下されます。

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⑦認定後の業務

認定されれば、認定機関より「認定証」が発行され、JASマークの貼り付けができるようになります。認定取得後も、年度計画書や生産・格付管理記録などの提出が引き続き必要となります。その後も、定期的に認定機関からの監査を受けなければならないのです。

 

このように、認定機関からの認定を受けるためには、栽培方法や圃場環境の整備などに加え、審査通すための事務手続き書類などの作成にも時間を要することになります。消費者側からすれば、厳選であれば厳選であるほど良いという印象を受けますが、それでは有機農業の拡大を阻害することにもなっていると言えます。