Lesson3-2 遺伝子組み換え食品

日本にも、遺伝子組み換え食品が輸入されています。
我が国は世界有数の遺伝子組み換え作物の輸入国なのです。
企業や厚生省は安全だという見解ですが、遺伝子を不自然に操作された食品の安全性は、果たしてどうなのでしょうか。

 遺伝子組み換え食品とは

遺伝子組み換えとは、生物の遺伝子を自然界で交わることのない全く別の生物、野菜やお米などに埋め込む技術のことです。

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例えば、害虫に有効な毒素をもった微生物の遺伝子を抽出して、それを野菜などの遺伝子に埋め込むことで虫に強い作物を作り出します。気温が高い地域では育たない作物の遺伝子に、高温でも死滅しないバクテリアの遺伝子を抽入し、気温が高い環境でも育つ作物を作ります。

自然には不可能なことを、人間が操作して可能にするのですが、全く関連のない種類の遺伝子を移すこの技術は、様々な問題が懸念されています。遺伝子組み換えホルモンを注射された乳牛からとれた牛乳は、癌にかかるリスクを高めるともいわれます。不自然なことをすると問題が起こるのがこの世の常なのです。

遺伝子組み換えのトウモロコシには、害虫対策がされています。害虫が食べられないトウモロコシを、企業や厚生省は「安全です、どうぞ食べてください」と言っているのです。害虫が死ぬのが嫌で食べないもの、果たして人間にとって安全だと言えるのでしょうか。

販売する企業は動物実験を元にその安全性を主張しますが、この動物実験も安全性を保証するには十分とはいえないとの指摘もあります。しかし、厚生省はその実験と安全の主張を認めているのが実情です。

また、遺伝子組み換え食品を食べることが人体にどのような悪影響を及ぼすかは、実はほとんど研究が行われていません。健康や環境への影響が不明確なまま、遺伝子組み換え食品は増え続けています。

遺伝子組み換え不使用表示の裏側

遺伝子組み換えの安全性に疑問が残るなら、できるだけ避けたいと考えるでしょう。特に小さいお子様がいらっしゃるお母様などは敏感になります。
しかし、この遺伝子組み替えの大きな問題点の1つは、それを知らず知らずのうちに取り込んでしまっている事がある点です。

遺伝子組み換え食品を使用した食品を表示で見分けることは困難です。
大豆や小麦、ナタネなどが原材料の場合「遺伝子組み換え」と表示することが法律で義務付けられています。しかし、醤油や油、マーガリンなどの加工食品には表示義務はありません。遺伝子組み換え食品を避けているつもりでも、すべて排除できているかは「不明」なのです。

日本の基準はとても甘い

日本の大豆自給率はわずか約5%で、そのほとんどを海外からの輸入に頼っています。それゆえ流通の過程で遺伝子組み換え大豆が混入することを完全に防ぐことは難しく、5%までの混入は許可されています。遺伝子組み換え不使用と表示されていても、5%は使用されている可能性が高いのです。

一方EUでは、「遺伝子組み換えではない」と表示するための基準は、すべての食品、飼料、添加物が対象で、混入率は1%未満としています。

原料のみが対象で5%までという日本の基準はとても甘いのが実状です。企業も農林水産省も厳密な表示に関して消極的なのは、表示することでその商品の売り上げが落ちる事が明らかだからでしょう。

遺伝子組み換え食品が、国の利益と企業の利益のためだけに作られているとしたら、あなたはどのような選択をとるでしょうか。

私達の行動が現状を変える

このような現状において、国や企業の批判をすることは簡単です。しかし批判する一方で、実際の生活では価格が安いことを理由に、遺伝子組み換え作物が使用されいている製品を購入していては何も変わりません。

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消費者が正しい知識を持ち、そのような製品を買わないという選択をすることが現状を変えるためには大切です。一般的に、安価な商品には遺伝子組み換え作物が使われている可能性が高いと認識してください。オーガニック食品を選ぶことができれば、遺伝子組み換え作物の混入を心配することはありません。オーガニック認証があるものは、遺伝子組み換え原料を一切含んでいないからです。

確実に遺伝子組み換え商品を避ける最も簡単な方法は、信頼できる人がつくる本物のオーガニック食品を選ぶことなのです。そのような生産者の方を応援していくことで、結果的に私達の安心な食も守られていくでしょう。