これまで、有機農業は、無化学肥料・無農薬と、身体に良い、環境にもよさそう、とイメージの良い表部分のみ説明してきましたが、オーガニックコンサルタントとして正しい知識と本当に良い物を選びとれる力を身につけ、活躍するためにも、やはりその裏側についても知る必要があります。
有機農業は農薬を使用している?
有機農業には農薬が一切使われていないと思う人がいるかと思いますが、実際は市販されている有機野菜の多くには農薬が使われています。それは何故かと言うと、有機農業には「許可されている農薬」があるからです。
有機JASでは農薬の使用が認められており、年々認定農薬の数が増えています。現在では29種類の農薬が許可されています。許可されている最大量を使用している農家もありますし、頑なに農薬は使用していないという農家もあります。
農家が農薬を使用するのには、消費者にも原因があります。先述した通り、日本では、形が悪い農作物は好まれません。消費者が農産物の形にうるさいという日本人の国民性も農薬が使用される理由の一つなのです。形がきれいで、大きさが揃っている野菜の方が人気がある限り、農家は農薬を使用せざるを得ないのです。
農薬の必要量が変わる有機肥料の違い
有機野菜では化学肥料のかわりに有機肥料を用います。有機肥料は大きく2種類に分けられており、一つが動物の糞尿を発酵させて作る動物性肥料、もう一つが草を発酵させた堆肥や米ぬかを発酵させたボカシなどの植物性肥料です。
大体の農家はどちらも組み合わせて使用しています。動物性肥料の使用量が少ない程、病害虫の被害が少なく農薬を使う必要が少なくなる傾向にあります。有機野菜は、植物性肥料を使ったものを選ぶのがおおすすめです。
悪質なオーガニック農家の存在
オーガニック農家にも色々あります。大規模な農園もありますし、小規模なところもあります。
小規模農家が作る真面目なオーガニック製品の良いイメージを利用して、まがいもののオーガニック商品で利益ばかりを追求する大規模企業が存在するという、悲しい現実もあります。また有機JAS認定を受けている農家のなかでも、基準値に達していないものを作っていた実態が明らかになった事例があります。さらに、政府の管理が間に合っていないという現実もあります。
オーガニックの表示がある商品といえど、その質には格差があります。だからこそ、正しい知識を持っている事は貴重で、その価値はますます高まっていくと考えられます。
